下顎が前に出ている(受け口)
下顎が前に出ている(受け口)

下顎前突・反対咬合(受け口)とは、下の前歯が上の前歯よりも前に出てしゃくれている状態のことで、反対咬合(はんたいこうごう)とも呼ばれます。正常な噛み合わせでは上の前歯が下の前歯の前側に位置しますが、反対咬合ではこれが逆転しています。
前歯だけが逆に噛み合っているケース(歯性)と、下顎の骨格自体が前方に突出している、または上顎の発育が不足しているケース(骨格性)があり、実際には両方の要因が重なっていることも多く見られます。
受け口は他の歯並びの問題と比べて、成長とともに悪化しやすいという特徴があります。特に骨格性の場合、思春期の成長スパートで下顎が大きく前に出てくることがあるため、早期発見・早期対応が特に重要な症状のひとつです。
以下に当てはまる方は、下顎前突・反対咬合(受け口)の可能性があります。
下顎前突・反対咬合は骨格・遺伝・習癖など複数の要因が関係しており、特に骨格性の場合は遺伝の影響が強く出ることがあります。
骨格的な要因
下顎の骨格が過度に発育して前方へ突出している、または上顎の発育が不足していることで、相対的に下顎が前に出て見える状態になります。骨格性の受け口は遺伝との関連が指摘されており、親御さんに受け口がある場合、お子さまにも同様の傾向が現れやすいとされています。
歯の傾き
骨格自体には大きな問題がなくても、下の前歯が前方へ傾いていたり、上の前歯が内側へ傾いていたりすることで、前歯の噛み合わせが逆になる場合があります。歯性の受け口は、骨格性と比べると矯正治療でのアプローチがしやすい傾向があります。
口腔習癖(こうくうしゅうへき)
舌を下の前歯に押し当てる癖や、下顎を前に突き出す癖が長期間続くと、歯や顎の発育に影響し、受け口の一因になることがあります。幼少期の習癖に早めに気づいて対処することが、予防・軽減につながります。
下顎前突・反対咬合(受け口)は放置すると成長とともに悪化しやすく、治療の選択肢が限られてくることがあります。早めに相談することが、将来の負担を減らすことにつながります。
骨格性の下顎前突・反対咬合は、上顎が成長すべき5~10歳頃に下の前歯が上の前歯の前方に位置することで上顎の成長を抑制してしまう可能性があります。上顎の成長が不十分だった場合、特に思春期(中学生前後)の成長スパートに下顎が大きく前方へ発育することで、症状が著しく悪化するケースがあります。こどもの頃は軽度だったものが、成長後に重度の骨格性下顎前突になるケースも少なくありません。そのため、前歯部の反対咬合は早期改善が必要となります。
上下の前歯が逆に噛み合っているため、前歯で食べ物を噛み切る動作がうまくできません。奥歯の噛み合わせにも影響が出ることが多く、特定の歯や顎関節に過度な負担がかかりやすくなります。
下の前歯が前に出た状態では、舌の動きに制限が生まれ、「さ行」「た行」「な行」などの発音が不明瞭になることがあります。会話の中で聞き取りにくいと感じられたり、滑舌の悪さが気になるケースもあります。
噛み合わせのバランスが崩れることで、顎関節に偏った力がかかり続けます。長期間放置すると、顎関節症(あごの痛み・口が開きにくい・音がするなど)に発展するリスクが高まります。
横顔のシルエットや笑顔に対してコンプレックスを感じやすく、写真を避けたり、人前で話すことに消極的になるなど、日常生活の質(QOL)に影響する場合もあります。
下顎前突・反対咬合の治療は、歯性か骨格性かによってアプローチが大きく異なります。骨格的なズレが大きいほど、より本格的な治療が必要になるため、早期の診断が重要です。成長期であれば上顎の前方成長を促すことで骨格の前後的なバランスを整えることが可能ですが、上下顎の骨格のズレが大きく、歯の移動により適切な咬合や顔貌が得られない場合は、成長終了後に顎変形症として手術を伴う矯正治療が必要になります。症例の重症度・年齢・ライフスタイルに合わせて、最適な装置をご提案します。
ブラケットとワイヤーで歯に持続的な力を加え、噛み合わせを整える治療法です。歯性・骨格性を問わず幅広い受け口に対応できます。抜歯でスペースを確保しながら下の前歯を後方へ移動させるケースや、上下の噛み合わせを総合的に調整するケースにも対応力が高く、最も多く選択される方法のひとつです。
透明なマウスピースで歯の傾きや位置を改善する治療法です。装置が目立ちにくく、取り外しができるため口腔ケアがしやすい点が特徴です。非抜歯による排列は向いていますが、マウスピース型矯正装置での改善が困難な場合は、ワイヤー矯正の方が適している場合があります。
歯の裏側に装置を装着するため、正面から装置がほとんど見えません。ワイヤー矯正と同等の治療効果を持ちながら、見た目を気にせずに治療を受けたい方に選ばれています。
但し、反対咬合の方は上の前歯が見えにくいことが多いため、舌側矯正のメリットが比較的少ないことが多いです。
受け口は、歯並びの問題の中でも特に早期治療の効果が高い症状です。顎が成長中のこの時期は、顎や歯列を広げる装置(拡大床や固定式拡大装置など)、上顎の成長を促す装置(上顎前方牽引装置など)や、下顎の成長方向をコントロールする機能的矯正装置を使ったアプローチが可能です。成長を利用して骨格から改善することで、将来の外科手術を回避できる可能性があります。下顎前突・反対咬合の治療は通常の叢生(でこぼこ)や上顎前突(出っ歯)の方々よりも早期に開始すべきことが多いです。「まだ小さいから」と様子を見ていると治療の選択肢が限られてくることもあるため、前歯の噛み合わせが逆になっていると気づいた段階でできるだけ早くご相談ください。
乳歯列期の反対咬合の場合は、I期治療開始よりも前に0期治療として、反対咬合・舌位の改善等の目的に、『ムーシールド』という既製品のマウスピースを使用することも可能です。
顎の成長が完了しているため、骨格自体を変えることはできませんが、歯性・軽度の骨格性下顎前突であれば矯正治療で十分な改善が期待できます。骨格的なズレが大きい重度の場合は、矯正治療と外科手術(顎矯正手術)を組み合わせて治療する方法をご提案することもあります。「大人になってからでは治せない」ということはありませんので、気になる方はまずご相談ください。
「こどもの前歯が逆に噛んでいる」「自分の受け口を長年気にしていた」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
下顎前突・反対咬合は早期対応が特に有効な症状のため、気になった段階でご来院いただくことをお勧めします。口腔内を拝見した上で、骨格性か歯性かの診断を行い、患者さまに合った治療法を丁寧にご説明いたします。
日本橋浜町矯正歯科院長の池田侑平です。
矯正治療は、診断と治療方針の適切さが治療結果に大きく影響する医療です。当院では、日本矯正歯科学会臨床医(旧臨床指導医・旧専門医)として、精密検査に基づく診断と、その根拠を明確にした治療計画のご提案を大切にしております。
治療期間が長期にわたることも踏まえ、ご質問には一つひとつお答えし、ご理解とご納得いただいた上で治療を進めてまいります。また、ご希望を尊重しながらも、医学的な観点から適切と考えられる治療方針をご説明いたします。
スタッフ一同、落ち着いた診療体制のもと、継続して通院しやすい環境づくりに努めております。歯並びやかみ合わせでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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